結婚式2

 妹の結婚式に出席した。馬子にも衣装だろう別人がいた。
 集合写真を撮る。メーキャップ女史が言う。「お化粧のノリが大変良いです。お肌がとてもお奇麗で。」と。お世辞であろう。なにしろメーキャップ女史は続けて「これで30代とは思えないくらいです。」と眉毛を描きながら事実を述べたからだ。
 30年前を思い出すと飲めないお酒が進んだ。
 妹は僕の膝に乗り手を取って前回りをすることを好んでいた。グルグルと回り何回もせがんだ。
 階段からよく落ちていた。いつもあと数段というところで足を踏み外していた。痛かったと思うけれど泣いていた記憶がない。落ちたのは彼女だから僕が覚えていないのは当たり前かもしれない。
 2、3歳の時にお風呂で起きた椿事はここには書き記せない。
 カメラを持ち披露宴会場をフラフラする兄に、「兄ちゃん、顔、ど赤いに。」三河弁でツッコミを入れてきた。化粧された新婦でなく膝の上で回る妹の顔だった。